10 メンタルの露呈


具体的にそれがいつ起こるのか、というのは知らない。ただ脳内に刻まれ、時々夢の中で確認する年号を確認する限り、わかることがある。キーになるのは今年だということだ。

なぜか誰も誕生日を公開してくれないので、年明けのあと、一度全員で集まった時に私は小さなクラッカーを鳴らす。おめでとう、とみんなを祝福して、買ってきたケーキを開けて、いつもメローネとホルマジオとペッシが蝋燭を吹き消す係りだ。
切り分けたそれを食べながら、私はリゾットに話を振った。
「いくつになったんだっけ?」
「26だ」
「へえ……。……リゾットと26って言う数字、似合わな過ぎてウケるね」
「……喧嘩を売っているのなら―――」
「いや、売ってない!!ごめん!!」
その赤い瞳で見下ろすのやめよ!私も目赤いけど!やめよ!
ケーキを掘削しながら考える。26歳かあ。ちなみに私は24だ。トゥエンティーフォー。ジャック、応答しろジャック!ジャアアアアアアアアアアーック!!これはスネークのほうのノリに近かったか。
フォークを咥えて考える。1999年かあ。4部が始まるころだったっけ。
「ソルベ、あーん」
「あーん……ん、グラッツェ、ジェラート。お返し」
「あーん」
これで付き合っていないというのだから世の中狂っている。私はソルベとジェラートの通常運転を見て、あっ、と思い出した。このふたり、大丈夫なんだろうか。1999年と言えば、ボスについて探ろうとしたふたりのどっちかが輪切りになってどっちかが窒息死する年だ。
ころんとショートケーキの上からイチゴを落として、さっくりフォークで刺す。ぐるりとテーブルを見渡して、ペッシもギアッチョも近くに座っていなかったので、向かい側でケーキに手を付けずペッシの話に相槌を打っていたプロシュートにフォークを向けた。
「ほらプロシュート、おねえさんから誕生日プレゼントだよ」
「テメーのほうが年下だろうが。2つもよォ」
「細かいことはいいんだよ!はい、あーん」
面倒くさそうに口を開けたプロシュートにイチゴを押し付けて、私は椅子に尻を戻した。リゾットと反対側の隣に座っていたイルーゾォが、イチゴをつつきながら笑った。
「お前さー、毎年てっぺんのイチゴ誰かにあげてるけど、イチゴ嫌いなのかよ?」
「いやべつに。ただ、みんな欲しいもの言わないから、とりあえずあげておこうかな、みたいな」
「なんだそりゃ。つーか、だったら全員に渡さないと意味なくねェ?」
イルーゾォの隣から話に加わってきたのはホルマジオだ。ホルマジオ、イルーゾォの口の端についてるクリームを取ってあげるのはきみの役目じゃないのかい、と思っていると、ホルマジオはげらげら笑ってイルーゾォのクリームを指摘した。そう、君はやればできる子だと思ってたよ!
「だってイチゴは一個しかないし」
ホルマジオとイルーゾォは私と同い年の24歳だ。ソルベとジェラートはひとつ上の25歳どうし。私よりも年下なのは、メローネとギアッチョとペッシの3人だ。ペッシ以外はひとつ差で23歳。
ペッシは22歳、らしいけど、本当にそうなのか、数えを間違えているのかは定かではない。普通ならこんな心配しないけど、ペッシはうっかりさんだからたまに不安になる。
「不公平だって言うなら、みんなにあーんしようか?おねえさんいつでもいいよ?」
「マジで?じゃあおねえさん俺にあーんしてよ!」
手を挙げたのはやっぱりメローネだった。隣に座ってるギアッチョはちまちまちまちまケーキを崩している。
「んー、メローネちゃんの皿にはもうイチゴがないけど何をあーんしたらいいのかな?」
「エアーでもいいよ?」
「ただ自分のフォークをメローネに舐めさせるだけだよね、それね。おかしいからね。どんな趣味なんだよ」
いいわけないだろ。
私はケーキにフォークを入れて、いそいそと近寄ってきたメローネに差し出した。餌を待っているつばめのヒナみたいだよ、メローネ。グラッツェと言いながら近づいてきた口は手のひらでガード。だからね、24歳にもなって言うのは恥ずかしいけどね、私はファーストキスもまだだから簡単に捧げるわけにはいかないんだよ、メローネ。
同時に数人が紅茶を噴いた。
「まだなのかよ!!」
「うるせえイケメンは黙ってろ!こっちはあんたらと違っておっぱいしか取り柄がないんだよ!あと金!」
「自分で言ってて悲しくならねーのか?」
「なるよ」
泣きたいよ。何が悲しくて部下に行き遅れを心配されないといけないんだ。お察しの通りまだ処女だよ。捧げてる相手がいないんだよ!こっちはお前らと違ってモテた試しがねえんだ。
「だから手っ取り早く俺で済ませちゃえばいいのにー」
「はいはいありがと。でもメローネってアレでしょ。四十八手持ち出してどれがいい?って訊くんでしょ?ギアッチョが言ってたよ。私そういう面倒なのはちょっと」
「いやいやそれはスタンドの準備だからだぜ」
メローネを華麗にスルーして角砂糖を紅茶に落とす。もうひとつ落とそうとして、指先で摘ままれているこの白い立方体が、何かを想起させた。そう、とても重要な何かを。
衝動のまま口に含んでガリリと砕いて、広がる甘味がシナプスにほとばしるような衝撃を与えた。
「……あ、……ああああ!しまった……!」
完全に忘れていた。ソルジェラの死、4部の開始、あとなんか護チのほうで何かあったような気がするけどそれは置いておいて、それ以外にもうひとつ、とても重要なことを。
「どうした、ポルポ?」
リゾットの声を、申し訳ないがおざなりに対応して済ませる。考えないといけない。あのゲス医者とわんわんをどうしたらいいのか。
「うわあ……私としたことが……」
「おい、落ち着けよポルポ。仕事のことか?」
「ん……うん、そう、ごめんね、今、お祝いやってたのに……、急に思い出したもんだから……」
どうしよう。ボスは彼らを押さえていたけど、別に押さえておく必要はなくないか。さっさとキルしちゃえばいいんじゃないの。チョコラータもセッコもまだただの下種で、スタンド能力を発現させたわけじゃあない。それをするのはたぶん私だ。
そもそもなんでボスは彼らにスタンド能力を持たせたのさ。そのまま殺したかったけど読みが外れたってこと?いやでも、その可能性を考えないわけはないから、スタンドが発現したら御の字、死ぬならそれはそれでハッピー、という話だろうな。
ブチャラティたちが苦戦するので、私はあのふたりを残しておきたくはない。どっかの町だったか村だったかが壊滅するから、という理由が一番に来ない訳は察してほしい。申し訳ないが、私の中での優先順位はブチャラティたちのほうが上だ。
すると、ボスが彼らに気づくよりも先に、私が確保するか、あるいはサバスたん以外の手段でサックリやるしかない。ああもう、下劣な考えだが、こんな時に肉の芽があれば便利なのに。
「あー、ごめん。なんでもないわ。悪いね、中断させちゃって」
「なんでもねェって顔じゃねーぞ、ポルポ」
「んー……うん、まあ、なんでもなくはないんだけど、今この場にはふさわしくないからね。誕生日会なんだからさ」
私は腕を伸ばして、心配そうにちょっと眉根を寄せたホルマジオにケーキをあーんした。素直に食べたホルマジオは、私の意図を汲み取って笑顔をつくってくれる。個性豊かすぎる9人の中でも、同年代のホルマジオとイルーゾォは地味、いや、ちょっとつっぱったチンピラ臭が離れない、私の感覚に近い人たちなので、こういう時にフォローをしてくれてとても助かる。
仕切り直すようにゆるゆるともとのざわめきを取り戻したリビングに、私はほっと息をつく。顔を皿に向けたまま、隣に座る私にだけ聞こえるような声で、リゾットが呟いた。
「何かあるようならすぐに言え」
「……ん。そうします」
できるなら、速攻魔法暗殺チームを発動したくはないのだけど。

次の日、どうしたらいいんだよビアンカえもーん!とビアンカに抱き着いたら、感動に打ち震えたビアンカがうずくまって泣きだしてしまった。慌ててなぐさめて理由を聞いたら、「ポルポがわたくしに頼って、そして、だきつ、だきついてくれ、るなんて、あ、う、う」、そのあとは言葉になっていなかった。君の愛が重い。
泣き止んだビアンカに事情を説明したところ、ビアンカは説明の間ずっと深淵もかくやというほど何か感情を抑えるように死んでいた目でうっそりと笑った。
「そう。……ポルポの心を悩ませるなんて、ふふ、……。安心して、ポルポ。すぐに悩まなくていいようにするから」
「え」
なにをどうするのだか聞き返す前にビアンカは部屋を出て行ってしまった。心なしか足取りが軽やかで今にも踊りだしそうだし、ハグを思い出したのか、ドアをくぐりぬける瞬間色っぽ過ぎる声を上げていた。完全にエクスタってる。仕事場でナニやってんだろうかって疑惑が立つから嬌声をあげないでほしい。

ビアンカは一時間待っても戻ってこなかった。嫌な予感がひしひしと押し寄せる。私は彼女になんと言ったっけ。たしか、そうおかしな説明ではなかったと思うんだけど。
――どうしたの、ポルポ。わたくしに相談事なの?
――そうなんだよビアンカ。私、今すごく悩んでいて……。ビアンカには一度も言わなかったから知らないと思うんだけど、チョコラータという医者とセッコっていう患者がいてね。私、そのふたりになにをしたらいいのか、この気持ちをどう処理するべきか、すごくすごく迷っているんだよ(殺した方がいいのか確保した方がいいのかさあ)。ふたりはたぶん、私の言うことなんて歯牙にもかけないだろうけど、私は彼らに接触したくて仕方ないの。誰にも内緒で、誰よりも先に。
――接触……?
ここでビアンカの目が死に始めた。
――うん。私の考えを知らない人には頼めないし、……なんだったら私の初めて(の意図的な殺人)を彼らに捧げてもいいんだけど、きっとうまくいかないと思うんだ。私、そういうの向いてないし(スタンドの機能は殺すか生かすかだからなあ)……。どうしたらいいと思う、ビアンカ?今の話を聞いてどう思う?
――安心して、ポルポ。すぐに悩まなくていいようにするから。
えっと。
「……もしかして、……いやいや、ちょっとそれは怖すぎるだろ」
遠回しな表現で相談したのがまずかったのだろうか。もしかしてビアンカは、私が彼らに懸想――かあるいは近い感情を抱いていると勘違いしてやいないだろうね。初めてを捧げるとか、言葉選びを間違えすぎてしまったような気がするけど、大丈夫だよね?
というか、もしそうだとして、私を説得するんじゃなくて外に出て行ったってことは、まさか、私の想い人(仮定)をぶち殺しに行ったんじゃ。
「……まさかね……」

結局ビアンカは次の日の朝、憑き物が落ちたような晴れやかな表情で現れた。
「ねえポルポ、確かにチョコラータという医者とセッコという患者なのね?写真があるけれど、見るかしら?」
「う、うん?その通りだけど、写真、どこで手に入れたのかな、ビアンカ?」
うふふと微笑んだ声も甘やかに、ビアンカは抱えていた茶封筒の中身を机にぶちまけた。写真に写っているのは確かにチョコラータとセッコに見える。こんな個性的な医者と患者がふたりといてたまるか。
それにしてもこの背景は、病院には見えない。コンクリート打ちっぱなしの、地下か何かの秘密の部屋のようだ。一枚、二枚、三枚と写真を進めていく。
写真の中のチョコラータは初めレンズに背中を向けている。奥でチョコラータに反応して振り返ったセッコがレンズを指さしたのにピントが合っている。チョコラータも振り返った。驚いたような顔。ぶれたふたりの姿。
次の写真には、チョコラータだけが写っていた。セッコがいない。チョコラータはセッコのいたところを振り向いた。またぶれる。同じアングルで、誰もいない部屋が写された。
「あの……」
ビアンカが一晩でやってくれました。
いや、そうじゃないだろ。これはなんていうホラー映画だ。怖すぎる。こんな写真が送られて来たら次は自分の番かと恐々として気が狂うわ。
「これでもうポルポは悩まなくていいわよね?」
「……うん、そうだね……。ちなみに、参考までに聞きたいんだけど、……ビアンカは何でふたりをぱっくんちょしに行ったのかな?」
ビアンカはうふふ、とまた肩をすくめて笑った。
「ポルポがこのふたりのこと、好きだって思ってるんじゃないかと思ったのよ。暗殺の猫どもならまだ受け入れられるわ。ポルポは彼らを気に入っているものね。護衛の犬どもも我慢するわ。ポルポは彼らを大切にしているものね。でも、私はこんなやつら知らない。……ね、そんなの許せないじゃない?」
絶句した。どんなヤンデレだよ。ビアンカ、君年々進化してない?ダメな方向に進化してない?
頭痛をこらえて口を開こうとしたら、ビアンカはうふふふふと私の額を人差し指でついた。
「なんて、驚いた?わたくし、さすがにそんな馬鹿なことはしないわ」
「……い、いまの、どっからどこまでが冗談?」
「わたくしがあのふたりを消したことは事実よ。けれど、うふ、ポルポが彼らを好きだって勘違いしたのは冗談。驚いた?」
「……すごくね」
冗談に聞こえなくって驚いた。今、弁解されたけど、まだ信じきれてないよ。さっきの暗黒瘴気を思い出したらビビりあがるわ。
「えー……、冗談ってことは、私が明日にでもビアンカの知らない恋人を連れて来てももちろん殺したりは―――」
「……」
「……しないよね?」
また目が死んだんだけど。
ビアンカはゆっくり、ぎこちなく笑った。唇がわなわなと震えて、悲痛そうに、秀麗な眉が下がる。目元があふれた涙でぬれて、彼女はわっと泣き出した。
「もちろん殺したりしないわ!けど、けど、そんなの、そんなのつらすぎる……!」
「例えばの話だよ!恋人なんていないから!いたらビアンカに紹介してるよ!」
ビアンカを宥めるのに一時間かかった。
本題から大幅に話がずれたのだけど、なんていうか、その、今年が始まって5日目にして、チョコラータとセッコが、リタイアした。


0.5

思い出すと怖すぎたので、帰路につく足の方向を変えて、ばたばたとリゾットのアパートに逃げ込んだ。ビビッて泣くかと思った。イエスヤンデレノー現実。病んだ人間は危なすぎて傍に置けないけど、ビアンカはどうなの。ギリギリアウトなの。セウトなの。ハッキリしてほしい。あっやっぱり怖いからハッキリしないでほしい。

ドアを閉めて、走ってきて荒くなった息をドアに背中をくっつけたまま整えていると、リゾットが廊下に顔を出した。
「どうした?」
やばい、ものすごく安心する。なんだこいつ、実家の空気でもまとっているというのか。
リゾットを見た途端肩の力が抜けて、堪えていた涙がぶわあああとあふれた。顔を合わせた瞬間泣きはじめる上司とかウザすぎる。ごめん。ちょうごめん。でもめっちゃ怖かったんだ。
ビアンカは、シャッターを切りながら、私のための証拠を撮りながら、感情を浮かべない凍り付いた無表情で事を進めたのだろう。ふたりのどちらにも見えなかったスタンドで片割れを食らい、驚愕するもう片方を闇の中にガオンと吸い込む。最後に、そしてだれもいなくなった部屋をフィルムにおさめて、諜報の誰かに現像してもらって、私の反応を思い浮かべながら眠ったのだろう。そしていつもそうするように、私が過剰にビビったり時に受け流したりするジョークを口にした。
でも、あれ、ジョークに思えない。まじで怖い。私、ビアンカの期待に添えなくなったら死ぬんじゃねえのかと一瞬思った。
泣き顔をうつむいてかくして、長袖の袖でぐいぐいと涙をぬぐっていると、肩に手をかけられてめちゃくちゃ心臓動いた。口から出るかと思った。
「ポルポ、何があった?」
「……う……う、う、ぜんぜん、もう、大丈夫なんだけど、……こわかった……」
こわかったよちくしょうううと声をあげながらリゾットのむき出しの胸に頭突きした。一瞬の間ののちにゆっくりと背中を叩かれて、死ぬほど安心する。やばすぎる。リゾットの母性EX。私完全に子供に回帰。
子供の頃を除けば、これといって泣いた思い出がないから、どれくらい泣けばいいのかわからん。気持ちは落ち着いたんだけど涙が止まらないのこれどうなってんの?私の脳みそに蛇口つけたの誰?
「ポルポ、あ、リーダー、……ポルポ!?ど、どうしたんだよ、な、泣いてるのか?」
「は?!」
「ちょっと、大丈夫なのか?」
「何があったんだ!?とにかくリゾット、そこじゃ寒いだろ、こっち連れて来いよ」
寒いだろってジェラートに言われて気づいた。なんでこのクソ寒い一月に前全開の服着てるんだよリゾットは。寒さ感じないのか。冬なのにタンクトップで学校に行く小学生か。いや人肌落ち着きますけど。人肌すぎるだろ。直じゃん。

リビングに入ると、メローネとイルーゾォとソルベとジェラートが各々立ち上がってこちらを見てきた。上司が泣きながらリーダーに連れられて入ってきたんだもん、そりゃ驚くよ。
ソルベとジェラートにソファを譲られて(どちらかが退けば済む話だけれど、当然のようにふたりは同時に立ち上がった)、私はそこに腰を下ろす。
自宅でいつもそうしているようにクッションを抱きしめたかったのだがクッションがなかったので、うろうろと見回してメローネを呼んだ。戸惑ったように近づいてきたメローネを隣に座らせて、腕をぎゅっと抱えさせてもらう。やっべえ気づかなかったけどこいつもいつもと同じ格好をしてやがる。冬装備なのは私とソルジェラとイルーゾォだけか、と思ったらイルーゾォも腹あいてるじゃねえか。みんな風の子なの?
「ポルポ、どうしたんだ?何があったのかおにいさんたちに言ってみろよ」
「そうそう。おにいさんたちにさ」
子供にでも接するように中腰になられて、私はソルベとジェラートの肩をかるくなぐった。
「急にかっこいいことするのやめて!ないちゃうから!」
「もう泣いてるだろ」
イルーゾォ、シャラップ!
「今何があったってわけじゃなくて、……まじで……いやもう……いや、……嘘を嘘と見抜けなくて、……いやまじ……ふるえた……」
「今も震えてるけど……」
「メローネちゃん、それは秘密にしてて!」
「いや、誰が見ても……」
いつもの変態具合が引っ込んでいる。きれいなメローネだった。
きれいなメローネは泣いている女をどう扱っていいのかわからないようだ。いや、泣いている女っていうよりは泣いている私か。上司だもんね。今まで偉そうな風吹かせてきたからね。いいよ、今なら殴っても許すよ。
「カッフェ飲むか?ソルベ、いれてこようぜ」
「おう。ちょっと待ってろよポルポ」
去り際までかっこよすぎる。

数分後に戻ってきた彼らからあたたかいカップを受け取って口をつける。ひとくち飲んで、大きく息を吐きだした。ようやく落ち着いてきた。精神安定剤がほしい。薬じゃなくてリゾット。メローネとリゾットは癒しだ。今そう決めた。
「ちょっとリゾットちゃん……こっちきて……ここ座って……メローネ詰めるけどごめんね」
「いいよ」
「ありがとう……そんでちょっと腕貸して……うん、そうそう」
左手にリゾットを右手にメローネを。すばらしい魔法カードだと思わんかね。私は思う。
「あああ落ち着く……あああ……ビアンカ……ビアンカヤバい……マジヤバい……」
「ビア……あの雌猫がなんかしやがったってのか?」
「何かしたって言うか……私が勝手にびびったっていうか……」
殺すか確保したい人物がいたことと、暗チに頼むにはそいつらの居場所も不確定だし依頼として不完全だったことと、ビアンカに相談したら一晩でさっくりやってくれたことと、ビアンカの言った洒落にならないジョークのことをぽつぽつと説明する。
ビアンカのことを知っている全員は、私が処分しようと持ってきた写真を見て、あー、と頷いて、ヤンデレのくだりで同情的なまなざしになった。
「そりゃ、マジかと思うわな。つーか、俺はマジだと思うけど」
「ジェラート、本音を言ったらポルポがまた泣いちまうだろ」
「あっ、そうだな、悪いなポルポ」
「マジでたまるかってのよ!私もうビアンカに好きな人とか紹介できないなって覚悟したし、もしかしてこれは私もいつか殺されるパターンかなってちらっと考えちゃったわよ!」
ソルベとジェラートはずぶりと穏やかに私の心に止めを刺した。やめて、優しく殺さないで。
「あの雌猫、やっぱり頭おかしいよな」
「頭は多分私よりしっかりしてるんだけど、スケールが……デカい……」
あと、慰めたあとにもう一回ハグしてってねだられたからハグしてあげたら、腕の中でものすごく震えてたし喘いでたんだけど彼女は大丈夫なんだろうか。やっぱりエクスタってるんだろうか。対私において歩くセクハラすぎる。けど私のほうが上司なので訴えられないという罠。
顔を覆いながらちょいちょいオブラートに包みつつ言っていたら、イルーゾォに頭を撫でられた。元気出せよ。
出したいよ。
「急を要する書類がなくてよかったよ、ほんとう。明日はゆっくり出勤するって言ったんだ……」
「よく泣かれなかったな」
「私のハグで半日分がんばるって言ってた」
「燃費悪……」
最近、彼女が本当に必要としているのはお給料ではなく、陶酔できる指導者なのではないかと思い始めた。なんで私がそのお眼鏡にかなっちゃったのか、過去の彼女を問い詰めたい。でもありがとう、君のスタンドはめっちゃ便利。
「はあ……。ごめんね、せっかく団欒してたのにさあ……」
「気にしなくていいぜ。元気出たなら、腕だけじゃなくてハグしてくれると嬉しーんだけど」
メローネがいつもの調子を取り戻した。そうだね、私泣き止んだからね。たぶんひどい顔だろうからあんまり見ないでくれ。
ひえーとリゾットの方に体重をかけて逃げると、メローネがぷうと頬を膨らませた。君、何歳なんだ。その仕草が似合う23歳ってあまりいないよ。
「うりいうりい」
「あは、あはははポルポくすぐってえー」
(冬なのに)むき出しのわきばらをくすぐりながらハグ。ハグめっちゃ自然。めちゃくちゃ落ち着くから、今度からしんどくなったら誰かにハグしてもらおう。心のすさんでた時期にハグを知っていればもっと立ち直りが早かったかもしれないのに。

人生で、数えるならまだ指を三本も折れないだろう大泣きをしたあとのテンションでラリっていたからか、私は調子に乗ってメローネの長い髪を手でもちあげて、あらわになった頬にキスをした。腕を貸してくれたお礼の代わりだ。誕生日プレゼントもないしな。おばさんのキスで許してくれ。逆にキモかったらごめん。
呆然としていたメローネが、ぱっと私から離れた。頬を押さえて、まじまじとこっちを見ている。
「あ、……ごめん、嫌だった?」
普段のプリーズキスミースタイルはただのポーズだったかな?リップサービス?青年の純情を傷つけたか?土下座するしかねえなとゲザる姿勢をとろうとしたら、メローネがあわてたように声をあげた。
「い、いやじゃない!……い、いまの、ほんとに……」
「お、おう、ごめん、ほっぺは誰かに操立ててた?」
「たててない。……そ、……そっか」
急にニコニコしだしてびっくりする。でも、嫌がられていないようで安心した。ゲザらなくてもいいようだ。ゲザり惜しみではない。
「え、なに、今ポルポ、メローネにもしかしてキスしたワケか?」
「はあー!?どう考えてもかっこよかった俺たちにするのが先だろ!」
ソルベとジェラートがなんか対抗してタートルネック引き下げ始めた。君たちはアレか。限定品だと聞いたらついうっかり列に並んじゃうタイプか。今の私はテンション振り切ってるから抵抗しないぞ。無条件で開城するぞ。
「よし来い!」
立ち上がって胸を張ると、ソルベとジェラートが同時に抱き着いてきた。なんで同時なんだ。あと私をふたりの間でもみくちゃにするのやめてほしい。オシャレな肌着が見えちゃう。ていうかソルベとジェラートは私という壁を挟んでお互いでハグしてないだろうか。どうしろってんだ。
背中を曲げて私の鎖骨のあたりに顔を寄せたふたりに、唇を近づける。デコに一個ずつだ。
ソルジェラは両側から同時に私の頬に頬を寄せて、親愛のハグを終えた。するっと離れて左右に分かれて、イルーゾォへの道をつくる。イルーゾォがぎょっとして逃げようとしたので、私は逃げられる前に突撃した。
「俺もお前もいくつだと思ってんだよ!」
「24ちゃいだよ!くっそ口紅つけてたらイルーゾォの腹に跡つけてやったのに!」
「お前が女捨ててんなって感じたの久しぶりだ!」
えっ前にも感じたことがあるの?捨ててないよ。おっぱいデカいだろ。
そういうところが捨ててるって言うんだよと顔面を手のひらで覆われたので、その手のひらにキスしておいた。そんなに嫌がらなくてもいいじゃん。いやまあ、私もホルマジオが急にキスしに来たら避けるけど。
ガッ、と勢いよく振り返る。ソファに座ってるリゾットに両手を差し伸べた。
「よし、おいで!おねえさんと――」
ハグしよう、と言い終える前に、リゾットが両手を上げた。私に来いというのか。しばらく睨み合ってみたものの、気迫で負けたので助走をつけて腕の中にとびこんだ。カッとなってやった。今では反省している。
「あー……落ち着く……」
「そうか」
「うん」
やっぱり人肌いいわ。リゾットだから余計に落ち着くのかな?
「今度会ったらフーゴとブチャラティにもやってみよ……」
「……誰だ?」
そういえば構成的には隣だけど、お互い知らないんだっけ。
私はリゾットの肩に手を置いたまま肩から顔を離した。リゾットの手が私の腰の後ろ辺りで組まれてる、ような気がするので、これ以上は離れられない。
「去年入ったうちの新人。ブチャラティはちょっとカタいけど優しい人だよ。リゾットとおんなじ、チームのリーダー。そんでフーゴは、街で拾って、まあ色々あったけど懐かせた猫みたいな子。めっちゃ若いのに頭良くって、私が頭撫でたりからかったりするとめっちゃ皮肉言ってくるんだけど顔赤くてカワイイんだー。さすがに人前では犯罪に見えるからフーゴにはひっつけないけど。ブチャラティなら行けるか」
「色々って?」
食いついてきたメローネに、顔を向けて苦笑する。
「野良猫だったから引っ掻かれたってだけだよ。ツンツンしてて、でもそこがイイよね!ギアッチョのもっと冷静でちっこい版みたいな」
「ふーん……。そいつ拾ったのいつ?」
いつ、と言われても。年が明けるよりも数か月前の話だ。大雑把な日付を言うと、メローネはふうんと鼻を鳴らした。
「もしかしてさあ、首の、それつけたのそいつ?」
「ん?あれ、いつ見せたっけ?フーゴが気にするからチョーカーつけてたと思うんだけど」
とんとん、とメローネが自分の首をたたいて首をかしげたので、私もつられて首をかしげる。思わず触って確かめたけど、やっぱりチョーカーは巻かれている。
「2か月くらい前に、酔っぱらって寝てたから取ったんだよ。これなにってきいたら『猫にひっかかれた』って笑ってるし……。で、今野良猫って言ったからそうじゃないかと思ったんだけど。……やっぱりかよ」
まったく覚えてないわ。
メローネは片目を細めた。チョーカーの奥にある傷を見通すような目だ。
「そんな気にすることでもない、で、……しょ?あれ?」
首の後ろの小さな留め具で調節するタイプのシンプルな黒のチョーカーなのだが、へらへらと私が笑っているうちに、リゾットが手を伸ばしてそれを外してしまった。しゅるりと肌触りのいい布が取り去られる。なにすんねん、とツッコミを入れる前に、指で横一線の傷跡をなぞられた。
「うあは、ビビるから急に触るのやめてよ。……深くはないんだけど、痕が残っちゃったんだよね。フーゴちゃんの愛のしるしかな?」
「刃物でついた傷のようだが」
「えっなにそれ触るとわかるの?」
「どういう状況でついたんだ?」
私の疑問はスルーされてしまった。刃物を錬成できるスタンドだから傷跡の種類にも詳しいのかと思ってワクワクしたのに。
それに、どういう状況と言われても、説明しづらい。あれは今のフーゴに思い出話として笑い飛ばしたら全力で落ち込まれたエピソードだからな。彼の中では黒歴史だろうし、あまり人に言いふらすようなことでもないと思う。
「言えねえようなシチュエーションなのか?」
イルーゾォ、穏便におさめようとした私の気持ちを汲めよ。無邪気に問いかけて来るなよ。ほらその言葉でリゾットの目が怖くなったじゃん。やめてよ。にらまれてんの私なんだよ。そんな言い方されたら言わない方がおかしいみたいになっちゃうだろ。言葉の誘導よくない。
「言えない……わけじゃないけどちょっと恥ずかしいし……」
迷っていたらリゾットに喉を押された。あれっ殺されるかな、と思考が飛んでから、すぐに傷跡を触っていた親指に力を込めただけだと思い当った。よかった。ごねたからそのまま喉潰されるのかと思ったわ。だってそのまま潰せそうだったんだもん。
「フーゴちゃんが疑心暗鬼に陥りまくってスレまくってて、ご飯食べについてきたかと思ったら台所の包丁で私を脅してきたでござる、みたいなそんな笑い話、なんだけど、この傷は事故なんだよ」
「へえ、事故ねえ」
「全然信じてないでしょメローネ。本当なんだって。私のレベルマックスの説得力がうなってフーゴちゃんの警戒を解いてたら、ここだ!っていうタイミングがあってさ、そんで私のファンタスティックなおっぱいで癒してみようと抱きしめてみたら、うっかり」
完全に私のうっかり。注意力散漫。
笑い飛ばしてほしいんだけど、フーゴちゃんは頭を抱えちゃうしブチャラティには言う必要もないし、じゃあ暗チはって思ったらせっかく話したのに誰一人笑ってくれないよ。どうすんだこの空気。イルーゾォたち三人分の同情の視線が突き刺さる。何に同情してるって、たぶんフーゴに。私がマヌケすぎることも憐れんでくれているかもしれない。
「注意力が足りなすぎるし、警戒心がなさすぎるだろ」
「あっ、警戒心がないっていうのはフーゴにも言われた!なんか、うちに来るっていうから荷物持って歩きだそうとしたら、鞄持ちますよって言われたんだけどね、ふつう渡すじゃん?」
「知らねえガキだろ?渡さねえよ」
「渡しちゃったの、ポルポ?」
「お、……おう。ふつう渡すだろ……」
ないない、とソルジェラに同時に首を振られて、私の中の常識が揺らいだ。フーゴにも怒られたけど、これ、私が悪いのか。
「リゾットは――……渡さないか」
「渡さないな」
だよね。多数決で圧倒的に負けた。
「あっでもブチャラティは絶対渡す。だから私もおかしくない!」
「それはお前とそのブチャラティってやつがおかしいんだよ」
会ったことのないはずのブチャラティまで罵倒されてしまった。ごめん、ブチャラティ。でもブチャラティと同じ行動をとったってことを自分に誇っておくね。

とげとげとお説教が色んな方向から飛んできて、私はうう、とうめいた。
最終的に私が怒られる流れ、そろそろやめたい。でも思い出話とか近況報告をするとだいたい怒られるのでもう黙っているしかないのかもしれない。
私はリゾットに抱き着いた。24歳にもなって説教されてるの恥ずかしすぎる。
だらーんともたれかかっていると、すっと指で髪を背中に流されて、首が涼しくなった。ああリゾットの顔にかかって邪魔だったのかな、私天パだしな、と放置していると、むき出しの首筋に吐息がかかってぞわり。
「うおあ」
びっくりして離れようとした頭がおさえられて、そのまま柔らかいものが押し付けられた。これ唇じゃね?小さく音もたてられているぞ。これ明らかに唇じゃね?リゾットちゃん何してんの?
ありのまま今起こったことを言うと、私は暗チにキスをしまくっていたと思ったらキスをされていた。何を言っているかわからねえと思うが私もわかんないよ。なんだ。
「な、なに?どしたの?」
「気にするな」
「そっかー……いやいやいや」
気になるわ。
押さえがなくなったので顔を上げてじっと見つめ合ってみる。
もしかしてあれか。私がやってたのと同じことを……いや、何でリゾットがやるんだ。メローネに親愛のキスを送るリゾットとか見た過ぎる。ちょっと期待してたぎったけど、ごめんそうだねこれ現実だった。イタリアは宗教上の理由か、薔薇系の話は表に出ていないからちょっと興奮してしまったが、やめよう。それ以上考えると自分にもダメージが跳ねかえる。前世のあれは過去の黒歴史なのよ。
やられっぱなしというのも性に合わないので、私はリゾット肩に手を置いて、耳にかかっていた髪の毛がこぼれるのをそのままに、リゾットの唇の横にキスをした。
「……」
「うん、気にしないで!」
見つめられたので、私はしたり顔で、いやもうドヤ顔って言ってしまってもいいかな。ドヤ顔でにんまり笑った。おねえさんをからかうからいけないんだよ。いっとくけど記憶のある年数を合わせたら私はよんじゅう……いややめよう。やめよう。うっ、つらくなってきた。精神年齢49歳なのに26歳と張り合ってんの?アホか私は。
ちょっと思考がしょんぼりする方向に走りかけた時、どんと勢いよくメローネが私とリゾットの間に割って入ってきた。とはいえ、改めて腰の後ろあたりで手を組まれてしまったので離れるに離れられなかった訳だが。
「ポルポ、い、今ちょっと、今のダメだろ!!」
「えっダメなの?リゾット誰かに操立ててるの?どうて―――」
「こわいこと言うなよポルポ!」
リゾットが童貞だとどう怖いんだ。いいと思うよ、一途に誰かを想ってるリゾット。できれば結婚式には呼んでほしい。上司として祝辞を読むから。読みながら泣いちゃったらどうしよう。
「ポルポ、ダメって言うのは……て言うかポルポ!ダメって言ってたのポルポのほうだろ!」
ポルポって呼ばれすぎてポルポがゲシュタルト崩壊。未だにあのデブの姿が浮かぶんでそのうち精神に異常をきたすんじゃないだろうか。
「ダメなんて言ってたっけ?」
「言ってたよ!初めてのチューは好きな人とするって!」
「あー。あれね。今のはノーカンだよ。ノーカン」
「ノーカンとかあるなら俺でもよかったじゃん!!」
そんな全力で主張しなくても。
あっメローネが撃沈してしまった。なるほど、メローネの角度からはちょうど私の髪の毛が邪魔でうまく見えなかったのか。床にしゃがんだままソファにすがってめそめそ言っているふりをしているので(メローネがこの程度で泣くわけがない)撫でておいた。しょんぼりしてるところが実にかわいい。
実際、ノーカンというか、あれはカウントできないしな。横だぞ。ただリゾットちゃんをびっくりさせたかっただけだぞ。
ねー、と同意を求めてリゾットを見ると、そうか、と適当に答えられた。ほらみろ。たぶんマジで口にしてたとしてもスルーだよ。ラリった上司面倒くせえなで流してくれるよ。
「にしてもこの体勢楽だな……。あ、そういえば聞きたかったんだけど、なんでリゾットもメローネもイルーゾォもその洋服なの?」
「……なんでって、……これが好きだからだけど?」
「制服みたいな気分だから、ここ来るときはいっつもこれなんだよなあ」
「あっ……よかった、別の所ではちゃんと違う服着てるんだ……」
そうだよね、そんな恰好で公道歩いたら逮捕されるよね。目立たないことがモットーの暗殺チームとは思えないもんね。町中の視線ひとり占めだよ。
ちなみにブチャラティは常に町の視線を独り占めだ。着々と人脈を築いているし信頼も勝ち得ているようで何よりです。顔を合わせるたびに凛々しくなっていくようでおねえさんドキドキ。フーゴにはちゃんとお腹かくさないと冷えるよって言った。そしたらあなたもこの寒いのに脚を出していては冷えますよって冷ややかな目で言われた。女のオシャレは我慢のもとに成り立っているんだよって説明したらそうですかって気のない返事が返ってきてちょっとつらかった。
「ポルポこそいっつも胸元開けたミニスカじゃん」
「そうそう。寒くないわけ?」
指されて、視線を下に向ける。確かにそろそろ年齢的にギリギリな丈だ。私ことポルポの肉体が非常に燃費が悪くて常に腹ペコなため、太るってことを(おっぱい以外)知らないらしく、それなりに洋服の映える体型で(おっぱい以外)成長がストップしたので、どうも服装のイメージを変えるチャンスを逃してしまった。
「そろそろイメチェンの頃合いかしらねえ」
もともと第三ボタンまでがついていない開襟シャツをべろんと引っ張る。今度来る時は違う格好をしようか。

私の言葉がきっかけとなり、それからメローネとソルベとジェラートが次なる私の衣装についてあれやこれやと相談をし始めたんだけども、振り切っていたテンションがだんだん戻り、泣きつかれていることも思い出した私は、そのままリゾットにもたれてぐーすか夜まで眠ってしまったのだった。
はっと起きたら変わらずリゾットがいてかなり驚いた。暗殺チームのリーダーを寝椅子にするとか、私はそのうち死んでしまうのではないだろうか。上司としての威厳を取り戻したいので、次に会った時にブチャラティにコツを聞いておこう。