18

ドリーム小説
を見て、花京院の心はひどく締め付けられた。
、……どうして……」

承太郎の服の裾を握って、はごくりと喉を鳴らした。指先は震えている。伸ばした手には『ピンクペイン』の木偶の手が重なっていた。
細い手首を掴んだのは承太郎だった。
「やめとけ」
承太郎はの恐れを見抜いていた。自分に何が起こるかもわからない。消えない傷が残るかもしれない。
の恐怖する姿を見ると、承太郎の胸には何か掴み難い心地が沸き上がった。その正体を考えるよりも先にの、ある種の愚行を止める為に力を込める。
花京院の両目は縦に一筋の傷が入っていた。目を閉じ血を流す青年は、車の後部座席でショック状態から眠りについている。荷台には同じく血のにじむ首筋をガーゼで押さえるアヴドゥルの姿があった。
悠々と後部座席を独占したがった犬を除けて、は花京院の頭を承太郎の太ももに載せた。承太郎は嫌がるそぶりを見せたがはいつものように眉をつり上げて言った。
「僕がそうしてくれって言ってるんだけど」
の名前になど何の威光もない。しかし承太郎は「やれやれ」とだけ呟いて背もたれに体重を預けた。砂地の上で大きく揺れる車の中、は深く息を吸い込む。
彼にはそうしなければならない理由があった。
借りを作ったままなんて冗談じゃあなかった。
にとって嫌なことは、自分よりも有利な立場にある人間ができてしまうことだった。自分本位に世界を回すは何より自分が一番でなければ気が済まないのだ。
自分の為に、は能力を行使する。
ジョセフもポルナレフも、の表情を見ていなかった。荷台でイギーの面倒を見るアヴドゥルも、目を瞑る花京院も、の手の震えを見ていなかった。震える手を掴んでやったのは承太郎だ。
「やめておけ、。どうなるかわからねーわけじゃあねえだろう」
「あぁ、わかってるよ。だけど僕は、花京院に助けられたんだ」
がたごとと荷が揺れる。承太郎はが何のことを言っているのか、漁村での一夜を思い出した。
隣の部屋で眠っていたはずの花京院が戸を叩いたのは深夜のことで、ハイエロファント・グリーンはDIOの刺客を捕まえていた。刺客はの命を狙っていたという。
の存在はとうにDIOに露見していたが、刺客がを狙ったのは偶然だった。布団にくるまり眠るがDIOを倒す六人のうちの一人で、一番刺客の近くにいたから刃を向けられたのだ。
は殺されかけた。そして助けられた。
にはそれが許せない。救われたにもかかわらず、どうしようもなく悔しさを覚えていた。
「このままじゃあいられない。僕は誰よりも頂点にありたいんだ」
「花京院は貸し借りで考えちゃあいねえ」
「僕は考えているんだよ、承太郎」
は承太郎の胸に手を当てた。透き通った真摯な瞳が承太郎の深い色と混じり合う。承太郎は一瞬、すべての音が消えたような気がした。
「僕はいつも対等か、それ以上で在りたいんだ」
緩んだ承太郎の手を振りほどき、は震える指先を『ピンクペイン』と融合させた。