別に倒してしまっても構わんのだろう?


ホグワーツの大広間には怪我人が集められていた。
黒い霞の中から現れたハリー君に場がざわつく。え?私?私はオマケみたいなもんだ。ブチ折ったニワトコの杖を片手にまとめて、スネイプ先生に肩を貸している。重いけど、そんなことを言っている場合じゃないのは解っていた。スネイプ先生の黒いローブには、見て取れるほどべったりと血が染みていた。
一時間以内にポッターとポルポを差し出せと、禁じられた森に来させろと最後通牒を寄越したヴォルデモートは怒り狂っていた。戻ったハリー君に向けられる視線は痛ましいものを見るようなものだ。しかし"幸運"の中にあっても傷つき、軽重さまざまな怪我をした人たちの中に、ハリー君を差し出してこの戦いを終わらせたいと思う人は一人もいないようだった。え?私?私はオマケみたいなもんだって。
「スネイプ先生!」
駆け寄って来たペッシが、私からスネイプ先生の身体を引き取る。その場に座らせ、傷の具合を診る。
「いったい……何があったの。こんな傷」
「蛇に噛まれたんだ。蛇に……、ヴォルデモートの大蛇に!ペッシ先生、これを使って!」
ハリー君が躊躇なく取り出したのは、メローネが渡した薬だった。フラスコに入った緑色の液体。サラサラした薬の匂いを嗅いだペッシは、これ、と広間の奥に顔を向ける。隆起した大理石の床の上に胡坐をかいているメローネは、プロシュート直々に腕の傷の治療を施されている。金髪同士がぎゃあぎゃあ言いながら仲良く手当をし合っている様子は微笑ましく、目の保養になる。しかし今はそんな場合じゃないんだ落ち着け私。
スネイプ先生は痛みに喘ぎながら、己の役目を全うせんと杖を握る。銀色の記憶を生み出そうとするその手を押しとどめたのは、やはりハリー君だった。
やって来たリゾットが片膝をついてスネイプ先生の乱れた髪をスッと整えてやる。すべてが終わった後から思うと、もっと真剣にこの場面を見ておくんだった。
「スネイプ先生、飲めますか?」
ひゅうひゅうと掠れた呼吸をしていたスネイプ先生は、徐々に容態を落ち着かせていった。
まるで赤色だったHPゲージがぐんぐん回復していくような変化。スネイプ先生の顔色は良くなり、失われかけていた命が取り戻されていくようだった。エリキシル剤、半端ない。
「副作用がなー」
メローネがぼそりと言った。ホルマジオも呟いた。副作用がなァ。
「ナニがあるの?女の子になっちゃうの?」
「残念だけど違うぜ。しばらく吐き気が止まらなくって眩暈がして動けなくなるのさ。吐き気と眩暈は……何か月くらい持続したっけ?」
ホルマジオがうんざりした顔になる。
「今もだよ」
「だってさ」
とんでもねえ薬だな。命には代えられないってやつか。
ハリー君はスネイプ先生の顔色がよくなったのを見て、ホッと息を吐いた。そんな彼に、話しかける生徒がいる。
「どうしてそいつを助けるんだ?スネイプは死喰い人だ。敵じゃないか」
「……それは……、……スネイプが……」
俯き、ハリー君の頬に影が落ちる。眼鏡を押し上げる仕草は戸惑っていた。言っていいものかどうか、彼は悩んでいるようだった。
しばらくの沈黙ののちに、ハリー君はその生徒だけでなく、大広間でスネイプ先生に疑いの目を向けるすべての人に向かって話し出した。彼の壮絶な人生のかけらと、背負ってきた罪と、守ってきたものの多くを。話しちゃうのか。確かにそれが一番いいことかもしれないけど、スネイプ先生としてはたまったものじゃないな。完全に他人事でごめん。痛みが消えたと思ったら吐き気と眩暈に苦しんでウオアアアとなっている時に突如聞こえてくる自分の人生の暴露。しかもポッターから。ポッターこんにゃろう。つらすぎるよな。

ポッター貴様、とうっすら呻き混じりに罵倒が聞こえたような気がしたが気のせいかな。
「ポルポ」
スネイプ先生に意識を傾けさりげなく手を握っていたら、同じくスネイプ先生の首筋に触れていたリゾットが私を呼んだ。どうしたの?
リゾットはスネイプ先生の体温を確かめ、薬が確かに効いたと知ると、彼の肌からゆっくりと指を離した。そのゆっくり加減がまた私の黒歴史で満ちたおつむにアホな妄想を迸らせる。なんでゆっくりなの。どういう意図があってゆっくり離したの。彼が必要な時以外には余裕をもった動きをすることを知ってはいるが、うん、あの、なんか。なんかね。……はい!私は何も考えていません、大丈夫です!
「……」
そんな探るような目で私を見ないで。何も思ってないです。
「ニワトコの杖を折ったのなら、ヴォルデモートは必ずお前を狙うだろう。俺の"エサ"としてではなく、殺すために」
「ですよね」
自分の行動ながらヤッチマッタなって思ってる。流れに負けた。つい折っちゃったんだよね。しかも「ソイヤッ」とか言って。恥ずかしすぎる。気合いを入れるとうっかりああいう言葉が出て来ちゃうんだな。日本人の魂が疼いたのかな。知っているのはスネイプ先生とハリー君だけだから二人の口を封じてしまえばこの秘密は誰にも漏れないわけだな。月がない夜は気をつけな。ヴォルデモート?知らない子ですね。
「何も考えていなかったか?」
「正直に言うと何も考えていなかったわね。これから考えるわ。えーっと、死にたくないからヴォルデモートを倒すっていうのは決定事項なんだけど、この場合だとハリー君にくっついて行かないと他のみんなに危害が及ぶから……」
正体を隠す為に蘭の父親がやっている探偵事務所に転がり込むわけにもいかない。でも大丈夫だぜ、私には"死んだふり"のスタンドがかかっているからね。109回目の実験に間違いがある訳がない。あっこれ死亡フラグみたいだな、止めよう。
「これで死ぬのは何度目かな?」
「自虐か?」
「ジョークだよ」
「ブラックだな」
「ネエロさんの婚約者だけに?」
「……」
リゾットの手が私の頬に触った。滑らせるように撫で、片手で包み込む。
「行かせたくはない」

そんな言葉は久しぶりに聞く気がする。
いつだったか、今はもう遠く思える頃に、一人で出かけようとする私をとどめて彼は同じようなことを言った。出来るなら共に行きたいと言った。私はよくそれを覚えている。どうしてもお互いと周囲の都合が合わなくて、その日にしなくてはいけない事情があった。だから私は一人で出かけた。

夜は更けていく。深まっていく闇は徐々に暁の方から白み始め、煌めく星明かりを模した大広間の空も輝きを変える。
青年の演説は佳境に入っていた。スネイプ先生は吐き気と眩暈で青白さを取り戻した顔色をおして身を起こし、与えられる驚愕の眼差しと疑いの声を制止しようとハリー君のローブの裾を掴む。ハリー君は綺麗にそれを無視していた。
「今度は帰って来るよ、リゾット」
頬の手に手を重ねて、出来るだけ優しく握る。安心しろ、実を言うと私は不死身だ。あっこれも死亡フラグっぽいな。止めよう。
愛の力で帰ってきますとも。なんて、薄っぺらいかな。
「帰って来たら結婚しようねー」
へらへら笑って言う。イタリアン死亡フラグジョークのつもりだったんだけど、リゾットは結構ガチな雰囲気で沈黙した。
「またジンクスか?」
「ダメかね?」
「いや……、今はそれでいい」
赤い瞳がゆっくりと細められ、リゾットは私から手を離した。
「私の"死体"が運ばれて来ても取り乱さないでね」
「"確かめる"まではそういう訳にもいかないだろう。特に難しい奴が数人いる」
いそう。二度掛けされたらマジで死ぬしな。それって怖いなあ、どうしよう。まあ慢心王と名高いヴォルデモッさんならそんなこたあしないだろうけど万が一の可能性が。
正直に「ちょっと怖いね」と言うと、リゾットの表情が険しくなった。ウッ怖い、一瞬でも私を睨まないで。
何事かを思案したリゾットの胸ぐらに手が伸びる。スネイプ先生は力なく助教授の襟首を掴んだ。
「きさまら……、"私"を挟んで……ぐだぐだと……話を……するな……」
スネイプ先生の右側に膝をついていたリゾットと、左側で手を握っていた私。確かに迷惑極まりない話だよね、ごめんよ先生。
「おのれポッター……」
スネイプ先生は完全に、生きながらにして力尽きていた。脱力し、もう言葉を発する気力もない。なにせ目の前でほとんどすべての秘密が暴露されてしまったのだ。なんという地獄か。私なら耐えられない。たぶんスネイプ先生も耐えられていない。
手からも力を抜いて倒れているスネイプ先生を必死に励ますペッシたん。ここに癒しは極まれり。しかし効果は乏しいようだった。

死の呪文を同じ相手に対して二度唱える奴はこの魔法界には存在しない、と言ってもいい。何故なら一度唱えれば必ず相手は死ぬからだ。しかしながら、もしもということがある。私が恐れているのはそれだ。"死んだふり"で動けなくなっている間にガチで殺されてしまうだなんて冗談じゃあない。それを回避する為に私が考えたことは、"どこまでもパーフェクトに死亡フラグを完遂する"ということだった。言ってみればただそれだけだ。
ヴォルデモートって今までたくさんの人を殺して来たし、色んな人が死ぬ場面を見て来たと思う。そんな中で、「あぁこいつは弱い」だとか「完全に"殺した"」と確信したことは多くあるはずだ。私はそこを突きたい。死亡フラグの完遂とは、主人公と対峙した時に「冥土の土産に教えてやろう」と口にした四天王の中で最弱の奴は死ぬ。そういう法則を逆に全うすることだ。イタリア人が戦いの前に結婚を仄めかし無事戦場から帰還するように、私は自ら死亡フラグを立てることによってきけんがあぶない一時間後の未来を乗り切りたい。
この時、まかり間違っても勝利フラグや強気な台詞を言ってはいけない。ヴォルデモートを前に"体は屈しても心は屈しない!"とかなんとか精神論をほざいた瞬間念入りに殺されることになるし私の末路はリゾットどころかナギニのエサだ。私が言うべきなのは、ハリー君と同じく、仲間の為に気高い死を選ぶという、ヴォルデモートにとってディ・モールト"好ましい"状況に相応しい言葉。
「(つまり空気を読む……!)」
艦載機を放って突撃、ならぬ、言霊を放って特攻。これだ。現実を見ろだとかアホらしいとか、そんな脳内の正論はスルー。今まで私はおっぱいとハグと文末のハートマークと口先だけで人生を乗り切って来た。今回だって口先だけで勝ってみせるぜ。
「ソルベに任せりゃあ良いんじゃねえのか?」
「素直に行く必要はねーだろ」
「でもねえ……」
確かに、誰かに変装して行ってもらうというのが私にとっては一番安全なのかもしれない。だけど、ニワトコの杖を折ったのは私だ。状況が状況であっても私が杖を折ったのだ。後片付けも私がするべきだし、もしも私の代わりに九人のうちの誰かが傷ついたりしたら、私は一生後悔する。後悔をしたくなくて精一杯やると決めたのだ。誰にも傷ついてほしくないなら、やっぱり私がやるしかない。あっなんかこんなことを以前にも思った気がするな。
「女王さん……」
「ポルポ……」
ソルベとジェラートは感激したように言葉を詰まらせた。
「ぶぐっ」
噴き出して笑う。
「リゾットの顔ウケる!!解ってるよ、行かせたくねえんだろ?ぶっ、ぐは、げほっげほげほ」
「えッ、どんな顔してるの!?」
急いで振り返ったがいつもと何ら変わりのない表情だった。見間違いじゃないのかソルジェラ。
「俺らの目は確かだって!なぁ、プロシュートも見たよな?」
「あ?こっちに振ってくんな、リゾットがどんな顔をしていようが興味はねぇよ」
話題をざっくりと切ったプロシュートは、堂々と立ち、腰に手を当て、ガッツリ開かれたシャツの前から見事な肉体美を晒しながら美貌を歪める。
「テメーの考えは理解した。だが、気に食わねえな」
「お?諦めの悪ィオッサンにどうにか痛い目を見せてやりてーのは俺だけじゃあねェってことか」
気に食わないとは。
プロシュートのしかめられた秀麗な眉。それが語るのは不愉快の三文字だ。ホルマジオが言う通り、プロシュートも、リーダーリゾットをいつまでも付け狙い諦めないガッツに溢れた帝王にうんざりしているのかもしれない。ううっその辺り気になるから詳しくくれ。
ところで"どうにか痛い目を見せてやりたい"というのはどういうことか。すべて思い通りになるといまだに信じ込んでいるドジっ子帝王に引導を叩き付けてやるという話ならたぶんポッター君がやってくれるぜ。
「ポッターが一騎打ちで勝利するって?それだけじゃあ俺たちがスカッとしないだろ、ポルポ」
勝利っていうか、まあ勝利。勝利ね。最終的には。
「土壇場で反旗を翻すっていう展開はどうだい?」
「どう、って、私に訊いてる?誰が反旗を翻すの?」
「リーダー」
「リーダーしかいねーだろ」
「リゾットか……」
リゾットがヴォルデモートに与すふりをして、いざ戦いという時にスルッと裏切って我が君をぎゃふんと言わせる作戦とは。
「ポルポは"死にに"行くわけだ。ポッターもそのつもりだろうけどさ、うん、俺の予想ではポッターは死なない」
「……パードゥン?ごめん、もう一回良い?」
「俺の予想ではポッターは死なない」
えっと、どうしてかなメローネくん?
「俺なりに考えてみたんだよ。分霊箱と闇の帝王、それからポッターとの17年の因縁について」
メローネは語る。手を広げ、イテテ、と腕を押さえてから気を取り直し、胡坐をかいていた片膝を立て、座る体勢よりも自分の仮説の方が重要だと瞳が訴える。
「帝王がポッターを殺そうとする。だけど阻まれ、呪文は帝王自身に跳ね返り奴の魂が壊れた。その魂のかけらが、その場で唯一生きていたポッターの魂の中に入った。ポッターが素質もないのに蛇語を話せたり帝王と意識が重なったりするのはそのためだ。二人はリンクしてる。ポッターは偶然つくられた帝王の分霊箱なのさ。そのことをポッター自身が知っているかどうかは訊いたことがないけど、まあ、あの顔を見る限りじゃあ知ってるんだろ。見ろよ、まるで死にに行くみたいな顔だ」
裁判中に被告人からとんでもない証言が飛び出した時の成歩堂弁護士の顔ってきっとこんな感じ。私は笑顔のまま硬直した。ははは、馬鹿な。ダンブルドアが辿り着いていた結論にこいつもまた辿り着いていたというのか。まあそうだよね、メローネは分霊箱にすごく興味を持っていたし、ハリー君に特別な思い入れがある訳でもない。客観的に見ればそれくらいの予想はつくよね。何か隠し事をするときはメローネから離れていようと心に決めた。
「ほォー……、んで?死なねーっつうのは?」
「幸運薬の効果はあと五十分は続く。俺たちの作った薬はカンペキだっただろ、リーダー?」
「あぁ」
「なら、ツキはポッターにある」
「それだけじゃあねぇだろ、メローネ。魂は元在った場所に返ろうとする性質がある。魂のかけらが二つ重なっているのなら、その内の片方はより本体に近く表面に出て来る。つまり攻撃を受けるのは"奴"自身の魂だけってこった」
プロシュート先生の闇の魔術講座が開かれた。ありがとうプロシュート、とてもよく解ったよ。君たちを敵に回しちゃいけないってこともよく理解出来た。私甘かったね。リゾット助けて。
リゾットの肩に頭をもたせ掛けて脱力すると、ぽんぽんと肩をさすられた。ありがとう、慰めてくれているのかな。ついでにハグしてくれたらすごく落ち着く。
「それで、リーダーが出るのさ。ポッターは"殺された"衝撃で動けなくなるだろう。まあもしかしたらマジで死んじゃうかもしれねえし。ポルポも"死んで"いるから動けない。帝王は必ず二人の死体を見せしめに持ってくる。そういう迂闊な奴だって聞いてるけど」
誰に?
「リーダー」
マジでか。リゾットの評価厳しい。
「基本的に奴は行動の結果他人がどう感じ、動くかということを、自分の尺度以外では測れていない人間だ。似たような人物を俺は一人、知っている」
「それ、ナニボロさん?」
「ぶぎゃはっはははは!!」
「げほげほっ、げほ、マジポルポ勘弁!」
ごめんごめん。軽く謝っておく。ソルジェラは笑いで撃沈した。
「そこでリーダーが行くのさ。"ポルポの死体を返してくれ"とね。先に言わなきゃダメだぜ、リーダー」
「なぜお前が俺の言動を決め始めているんだ?」
「だってあんた、解ってたってポルポの死体を見たらオッサンのことを殺しちまいそうなんだもん」
それじゃあぎゃふんと言わせられねえだろ、とメローネはけろりと笑った。末恐ろしい。今は最も年下であるのに(メローネは私よりもギアッチョよりも誕生日が遅いのよ)完全にえげつない。
「で、死体と引き換えに身柄を要求されたあんたが闇の側につくふりをする」
リゾットはまったく気のない返事をした。すごくどうでも良さそうだ。
「……それで?俺はどう戻って来るんだ?」
「知らねえけど。それくらい自分で考えなよリーダー」
「うわっお前勇気あんな……」
イルーゾォが引いている。心の距離が遠ざかったことにはまったく何も思っていないのか、メローネはへらへらと笑ったままだ。提案するだけしておいてあとは投げっぱなし。こんなとんでもないバリタチの相手をして後始末を頑張って来たリーダーとギアッチョに全霊で敬意を表する。
リゾットがため息を吐いたところで、私は後ろから思いっきりどつかれた。
「お前ら状況考えろよ!?ハリーの話とか聞いてなかっただろ!」
「痛い!」
ロン君、私は無実です。両手をホールドアップして振り返る。ハリー君は苦笑した。
「いいよ、大した話はしてないから」
今この子スネイプ先生の半生をぶった切った?
青年は座る私を見下ろして、リゾットをちらりと見て、それから手のひらを広げた。
「ポルポ、僕は君を死なせるつもりはない。だけど、途中まででいい。一緒に来て欲しいんだ」
とても、怖いから。
ハリー君の手は震えていた。ハーマイオニーちゃんがロン君に縋り、堪え切れない震えを押し隠す。
近所の子供を見るような感覚。私はその手を取って、握りしめる。いいよいいよ、今の私には"幸運"と"スタンド"がついている。なんとかなるさと、いつも以上に思えるよ。突然のシリアスにもイタリアンギャングは狼狽えなァい。
「さいごまで一緒に行くよ、ハリー君」
ラックとプラックの印を刻んで、折れたニワトコの杖を持とう。私、もう早くすべてを終えて結婚したいわ。
「ハリー君もジニーちゃんと結婚したいっしょ」
「……そうかもしれない。だけど、喧嘩しちゃったから」
「仲直りしに戻らないとね」
「……そうだね、ポルポ。その時はきっと、もう君の手を握らなくても良い気がする」
「プロポーズは一人でやった方が格好いいしね」
「そういう問題かなあ?」
禁じられた森への道は、まだ暗い。