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本編後 付き合っている
*
前髪を手でかき分けて、露わになった額に口づけを落とす。反応はない。
「」
震えないまつげをよけるように瞼にもキスをする。彼女はまだ起きない。
まろみのある頬に唇を滑らせて行き着く先には薄くて深い寝息がある。いい加減に起きればいいのにと思わなくもないスティーブンだった。
少しだけ開かれた唇に自分の唇をそっと重ねて軽くついばんでみると、ようやく「う」と声が聞こえた。スティーブンは彼女が起きたかと思ってそのまま様子を見たが、彼が黙っているうちに先ほどよりもリラックスした呼吸が始まったのでさすがに心配になってきた。彼女の眠り癖についてはまあまあ理解があるものの、安穏と寝込みを襲われてどうする。俺が悪漢だったらコトだぞ。一瞬でも想像してしまった自分の脳が恨めしい。胸が悪くなった。
「。そろそろ夕飯だよ」
気を取り直して声をかける。届かないとわかっていたし届ける気もない微かな囁き声だ。
名前を呼ぶとまた、「う」と女がうめく。
「うー……」
「夕飯。食べないのかい?」
「ううー……」
「おーい、」
「ううう……」
よほど眠いのだろう。なぜ眠いのかは知らないが。
子供がむずがるようにギュッと眉根を寄せた不満顔はもともとの顔立ちよりも彼女を幼く見せる。額と額をくっつけ至近距離から覗き込んだ目の焦点はまだぼやぼやだ。だからなのか、スティーブンの懸念どおり彼女は何をされても無抵抗である。ピンク色の短い音を立てた頬へのキスでようやくゆるく手を持ち上げる始末だ。
スティーブンはその手を掴み、指を絡めてしっかり繋いだ。
「」
彼女の名前を呼ぶ声は、どこか優しく甘かった。
「夕飯だよ」
「……スティーブンがキスしてくれたら起きる……」
「はいはい」
箇所を問わないなら少なくとも10回は起きてもらわないと困る。
しかしスティーブンは何も言わずに目覚めのキスを献上し、捧げられた側が「ホントにしてくれた!!」と飛び起きるのをのんびり眺めることにした。
そんな夜もあるのである。
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前髪を手でかき分けて、露わになった額に口づけを落とす。反応はない。
「」
震えないまつげをよけるように瞼にもキスをする。彼女はまだ起きない。
まろみのある頬に唇を滑らせて行き着く先には薄くて深い寝息がある。いい加減に起きればいいのにと思わなくもないスティーブンだった。
少しだけ開かれた唇に自分の唇をそっと重ねて軽くついばんでみると、ようやく「う」と声が聞こえた。スティーブンは彼女が起きたかと思ってそのまま様子を見たが、彼が黙っているうちに先ほどよりもリラックスした呼吸が始まったのでさすがに心配になってきた。彼女の眠り癖についてはまあまあ理解があるものの、安穏と寝込みを襲われてどうする。俺が悪漢だったらコトだぞ。一瞬でも想像してしまった自分の脳が恨めしい。胸が悪くなった。
「。そろそろ夕飯だよ」
気を取り直して声をかける。届かないとわかっていたし届ける気もない微かな囁き声だ。
名前を呼ぶとまた、「う」と女がうめく。
「うー……」
「夕飯。食べないのかい?」
「ううー……」
「おーい、」
「ううう……」
よほど眠いのだろう。なぜ眠いのかは知らないが。
子供がむずがるようにギュッと眉根を寄せた不満顔はもともとの顔立ちよりも彼女を幼く見せる。額と額をくっつけ至近距離から覗き込んだ目の焦点はまだぼやぼやだ。だからなのか、スティーブンの懸念どおり彼女は何をされても無抵抗である。ピンク色の短い音を立てた頬へのキスでようやくゆるく手を持ち上げる始末だ。
スティーブンはその手を掴み、指を絡めてしっかり繋いだ。
「」
彼女の名前を呼ぶ声は、どこか優しく甘かった。
「夕飯だよ」
「……スティーブンがキスしてくれたら起きる……」
「はいはい」
箇所を問わないなら少なくとも10回は起きてもらわないと困る。
しかしスティーブンは何も言わずに目覚めのキスを献上し、捧げられた側が「ホントにしてくれた!!」と飛び起きるのをのんびり眺めることにした。
そんな夜もあるのである。
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